[シングルス第1試合]
○ヤンレナト・シュトルフ 6-4,6-7(4),6-4 ●西岡良仁
■西岡が一度でもブレークできていたら……。だれもが、そう思った試合だろう。ブレークポイントが10回あったが、一度も成功しなかった。ブレークを果たせば精神的にも優位に立てる。逆に、押し気味に進めながらチャンスを逃し、相手が息を吹き返すことは決して珍しくない。西岡が失った第1、第3セットがまさにそんな展開だった。シングルスで7連勝中と、デ杯を得意にする西岡だけに、リズムに乗る機会を逃したことが惜しまれる。
■西岡は「プレッシャーのかかった中で、自分なりの素晴らしいプレーで2時間半しっかりと戦ったと思う。シュトルフ選手が随所でいいプレーが多かった、それに尽きる」と振り返った。ブレークポイントを生かせなかったことについては「できる限りのことはやった。何ができたかは正直、分からない」と話した。
■一方のシュトルフは、ピンチの場面を「最も大切な、冷静でいるということができて、重圧のかかったポイントでいいプレーができた」と振り返った。23年に自己最高ランク21位をマークした実力者だが、今季はランキングを落としていた。全米開幕時は145位、それでも予選から本戦に勝ち上がると、第11シードのホルガー・ルネ(デンマーク)らを破ってベスト16入りした。これが、西岡との試合で窮地を切り抜ける助けになったという。「トップ100(98位)に自分を押し戻すことができたし、タフな相手と対戦する機会を得たことは非常に良かった。そのおかげで、ブレークポイントの場面でも冷静でいられたし、攻撃的にできた」。
■波に乗るシュトルフとは対照的に、西岡は勝ち運から見放されている。「最近、なかなか自分に流れが来ない」と西岡。肩痛や腰痛にも苦しみ、3月のマイアミオープン以降、ツアーで1勝しかできていない。西岡は「彼(シュトルフ)は全米でいい瞬間を経験して、その流れで今、国を背負って戦っている。ずっと劣勢だったと思うが、それをはねのける瞬間に彼が巡り会えたということだと思う。流れに乗れている状況の差はあった」と冷静に話した。
■総獲得ポイントは、シュトルフが105で西岡が101と、わずか4ポイント差だった。得意のデ杯戦、「ツアーとはまた違う気合が入る。だからこそ、いいプレーにつながった」と、納得できるプレーはあったものの、「つかみかけていた」勝ち星を手中に収めることはできなかった。
(日本テニス協会)
本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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