副会長 渡邊 康二
新体制への期待
11年間もの長きにわたって日本テニス界の陣頭指揮に当たられ、数々の改革を成し遂げられた盛田会長が名誉会長に就任され、執行部の第一線から退かれました。これまでのご指導に心からの感謝と敬愛の念を捧げたいと思いますが、まだまだ日本テニス界の将来への熱き思いは変わらぬものをお持ちと思いますので、これからもお見守り頂きたいと切に願うものであります。
私も盛田会長が就任されてまもなく専務理事に就任し、以来10年間盛田会長のもとで、テニス協会を一つの企業として捉え、アイデンティティーの構築とガバナンスのありかたについてそのノウハウの真髄を学ばせていただきました。私も四十有余年社会人の経験をして参りましたが、アクティブな盛田会長にお仕えして得た充実感は、これまでの人生の中でも出色のものでありました。
この度発刊になりました「強化指導指針㈽」巻頭の盛田会長のご挨拶にある「マネジメント」に関する一文は、盛田会長がこの11年間に実践されました会長としての哲学をまさに示されたものであると改めて感動を受けました。「マネジメントとは、人を効率よく目標達成に向かわせるのではなく、いかにやる気を起こさせるかである。」と述べられておりますがまさしくそれはボランティアの団体を動かすエッセンスであったと思います。
会長時代に示されましたテニス協会運営を野球で例えると良くお判りいただけるかと思います。会長は監督で投手の専務理事と捕手の事務局長の3者が中心になります。他の役員、委員は内・外野手で、打球が飛んでくればそれを的確に処理しなければなりません。エラーすれば全員に迷惑をかけることになり、また人の分野まで打球を追うと守備のバランスが崩れ失点に繋がりかねません。バッテリーは常に中央で活動し、投手は監督の意向を受け目標成就に向けて粛々と打者(問題)に向かいます。捕手は投手の癖を知り、また打者(問題点)のポイントも探って投げるコースを指示または提案したりします。
私は専務理事として、そんな関係とバックの守備に支えられ、点を取られ、喘ぎながらも何とかこの10年間完投できたことを心から安堵し、感謝している次第です。
さて、いよいよ畔柳新会長、内山新専務理事の新しい体制がスタートしました。畔柳新会長は、世界的メガバンク三菱東京UFJ銀行の会長として世界の経済界に強大な影響力を発揮される財界人であられる一方で、東京教育大学(現・筑波大学)附属高校時代サッカー全国大会でベスト4に入るご活躍をされた名フォワード、その後東京大学でも体育会サッカー部で活躍され、三菱銀行入行後も35才まで試合に出られたとか。体育会系財界人であられることで、我々の期待は大きく膨らみます。サッカー部時代は「For the team」をモットーにしておられたようですが、現在はこよなくテニスを愛していただいており、まさにうってつけの会長をお迎えした喜びで一杯です。
これまでのテニス界にはなかった新しい組織論、経営哲学を期待し、そこに長年テニス協会の理事、常務理事を務められすべての役割をこなして来られました内山新専務理事、そしてただ一人引き続きホームプレートを守る捕手、鈴木事務局長のコンビが、盛田新名誉会長が予見されました「新しい風」をどのように具現化されるのか、大いに期待したいところです。
テニス界を取り巻く環境は良くなるどころか悪化の傾向をたどりつつあります。このような中での新会長、新専務理事のご就任には大変申し訳ない気持ちも一杯ですが、新鮮な思考と柔軟なご対応で必ずやこれまで以上の発展を遂げられるものと確信している次第です。