第1日 添田4時間を超える激戦に惜しくも敗れる
広報委員 中俣拓哉
コート上の温度は46度とも言われる中で行われた初日、シングルス試合は、ともに敗れてしまった。第1試合、本村剛一はパラドーン・スリチャパンを相手に第1、第2セットとも競った内容を見せるが、第3セットは6-1と圧倒された。第2試合では、添田豪とダナイ・ウドムチョクがお互いに自身の体力の限界とも戦い、フルセットの末ウドムチョクが勝利を手にし、タイに2勝目をもたらした。
Rubber 1
チームの大黒柱本村は、ゲーム序盤いい滑り出しだった。「サーブを攻撃の中心として早い展開でポイントを取ってくるスリチャパンに対し、一球でも多く打たせていこう」という日本チームの作戦が奏功してか、長いラリーになると決して本村は負けていなかった。しかし、スリチャパンも隙を見せない。第1セットはスリチャパンのワンブレークで、本村が1セット先行を許してしまう。
第2セットでも、本村のショットは深くコースを突き、強力なサーブで攻めるスリチャパンに対抗する。互いにキープが続きタイブレークに突入。「第2セットが取れていれば」と後に悔やまれた本村は、スリチャパンの安定したサーブ力を前に中々チャンスをつかめず、このタイブレークを落としてしまう。
その後「第3セットはじめから脚に痙攣が出始めていた」という本村に対し、たくみにドロップショットなどを織り交ぜ、攻め方に余裕が見られるスリチャパンが徐々にスコアで圧倒してきた。時折見せる長いラリーでは、本村のスリチャパンを上回る強烈なショットに応援団を唸らせたが、結局6-1とスリチャパンが本村を寄せ付けなかった。
Rubber 2
最近のチャレンジャー大会(3月・ベトナム)でベスト8に残るなど、メキメキと実力を上げてきている添田は、「頭が朦朧としていた」というくらい体力の限界点でまさに死闘と呼べるくらいの戦いを演じた。序盤からきわどい試合になることを予感させた。ストローク戦はまったくの互角であった。
互いに気迫のこもったショットで、ラリー戦では双方の応援団が息を詰まらせた。添田がバックハンドでダウンザラインにエースを奪うと、ウドムチョクは強烈なフォアハンドをクロスに深く突き刺す。そのたびに互いの応援団が大歓声を上げる。第1セットは、7-5でウドムチョクが、第2セットは6-3で添田がそれぞれものにした。
第3セットでは、添田にはストロークのペースに変化をつけるなど冷静に攻める姿が窺え、少しだが添田がウドムチョクを上回っているように見えた。しかし、世界の大舞台での経験に勝るウドムチョクは、添田のダブルセットポイントをしのぎタイブレークに持ち込む。このタイブレークで「少し痙攣がきた」というウドムチョクが痛恨のダブルフォルトを犯し、方や勢いに乗った添田は6-4の場面にサービスエースを叩き込み、「カモン!」の声とともに左手の拳を突き上げた。
しかし、試合はここからさらにもつれる。第4セットも全体的に添田が押しているようにも見えたが、実は「3-3くらいから脚に痙攣が来ていた」という添田が第9ゲームをブレークされ、6-4でこのセットを奪われる。第5セットに入ると、明らかに添田の脚は動かなくなっていた。ここまでか、と思われた第2ゲーム途中、今度はウドムチョクが脚の痙攣でメディカルタイムアウトを取る。
脱水症状により「何も考えられなくなっていた」という添田と「相手のほうが自分よりもまだ体力があるだろう」と考えるほどだったウドムチョクが、絶対に倒れるものかと気迫のみで殴りあうボクサーのように、フラフラになりながら打ち合った。添田の脚の動きが止まるのが少しだけ早かった分、ウドムチョクが先攻し勝利をもぎ取った。これでタイは2勝目を上げることとなった。
今日の試合で「二人の気持ちが明日のダブルスの二人に伝わったのではないか」と語る竹内映二監督。「1-1で2日目に持ち込みたかった」が、これで後がなくなった日本。明日のダブルスに賭けるのみだ。
今日の試合で「二人の気持ちが明日のダブルスの二人に伝わったのではないか」と語る竹内映二監督。「1-1で2日目に持ち込みたかった」が、これで後がなくなった日本。明日のダブルスに賭けるのみだ。
第2日 日本代表チーム・タイに及ばず、0-3で敗れる
もう一本も落とすことができない日本は、岩渕聡/松井俊英ペアのダブルスに託した。なかなかリズムに乗れないながらも、気持ちで食らいつく日本ペアだったが、確実にポイントを重ねていくサンチャイ・ラティワタナ/ソンチャット・ラティワタナペアの前にセットカウント3-1で敗れてしまった。タイは、ワールドグループの入れ替え戦へと駒を進める。
Rubber 3
| ● |
岩渕聡/松井俊英 |
|
○ |
サンチャイ・ラティワタナ/ソンチャット・ラティワタナ |
絶対に落とせないという気負いが大きすぎたのか、序盤は日本ペアに少し硬さが見られた。相手は双子の兄弟サンチャイ/ソンチャットで、彼らは世界のチャレンジャークラスの大会で上位の成績を残しているペアだ。「二人のリズムのタイミングが合わなかった」という岩渕/松井ペアは、簡単なミスをせずきっちりとポイントを重ねるタイペアに、あっという間に2セット連取されてしまう。
応援席では「燃えろ、ニッポン!」とタイ国内やシンガポールなどから駆けつけた日本を応援する子供たちのボルテージは、ますます上がっていた。まだまだ応援席にあきらめムードはない。第3セットに入ると、今まで先にポイントリードされるとそのままゲームを取られるケースの多かった日本ペアに粘りが出てきた。第2ゲームでは岩渕がボレーをフレームに当てながらもねじ込み、すぐその後松井が見事なサービスでエースを奪う。やっと二人のリズムが噛み合ってきた。第5ゲームでタイペアのサービスをブレークすると、簡単にはミスをしないという粘りのプレーが相手にブレークバックを許さず、第3セットを6-4と奪取する。
しかし第4セット、タイの双子のペアに焦りの気配は一切なかった。「昨年負けた時は岩渕のサービスにやられた」というサンチャイ/ソンチャットペアだったが、「サービスが悪く、リターンで攻められてしまった」と自身のプレーを振り返る岩渕が、2-5となったところでブレークされゲームセット。2006年日本のデ杯アジアオセアニアゾーン・グループ1からの勝ち上がりを賭けた挑戦が、ここで終わった。
「これからは、代表を賭けて定期的にお互いが競い合う機会を増やしていく。そこで若手がベテランに火をつけるようになればいいと思う」と試合後竹内監督は語り、「選手の選考についても、若手ベテラン関係なく、個人戦でベストな力を発揮したものを選んでいく」と付け加えた。
第3日 松井と本村、最終日シングルスは2試合とも圧勝
現地14時の試合時間にスコールのような雨が降り、試合はおよそ2時間遅れでスタート。2日目まででタイに3敗を喫したため、この日のシングルス2試合は3セットマッチで行われた。日本は1日目にフルセットを戦った満身創痍の添田豪に代わり松井俊英がサンチャイ・ラティワタナと、本村剛一がソンチャット・ラティワタナとそれぞれ対戦した。結果、2試合とも日本が完勝し、何とか一矢を報いるかたちでアジア/オセアニアゾーン・グループ1の2回戦を終わることができた。
Rubber 4
この試合終わってみれば、松井は第1セット、第2セットともにサンチャイのサービスを1ゲームずつブレークし、逆にひとつもブレークされることなく連取するという磐石な試合運びであった。「ダブルスのときと違い、硬さがまったくなかった」という松井は、熱くなりながらも、力みすぎず確実にサービスゲームをものにし、相手につけいる隙を与えなかった。
「チームの大切なムードメーカーになってほしい」との竹内監督の期待に応えるかのようなプレーぶりだった。ポイントごとに応援席に向かって大きくガッツポーズする松井は、日本チームと応援団を熱狂させた。また、重要な局面には積極的な攻撃で連続してポイントを重ねる。いい集中ができている証拠だろう。「応援と一体になれるデ杯の雰囲気は大好き」と松井。マッチポイントをサービスエースで締め、相手選手との握手を済ませると、真っ先に応援団のもとにハイタッチをしに走った。これからの日本チームの精神的な柱となることを予感させる試合だった。
Rubber 5
「プレッシャーがなかったので、思い通りのプレーができた」という本村は、ソンチャットに対してまさに格上のプレーでゲームを支配した。一方のソンチャットからは、昨日のダブルスで見せていた自信ある表情が全く消えていた。本村のスリチャパン戦では思うようにできなかったセカンドサーブを叩く作戦が、さらに相手を追い詰める。ソンチャットは、何とかネットを取ろうとリターンダッシュも試みるが、本村のパスを警戒するあまりアウトになるケースが多く見られた。ソンチャットはなす術を見つけることができずにゲームセット。本村の完勝だった。
ワールドグループへの入れ替え戦を賭けた今回のタイとの戦いは、結果として2-3で敗れてしまった。しかし添田は経験によってさらに飛躍することを予感させ、松井はムードメーカーとしてチームに明るさと勢いを与えた。竹内監督が言うように、さらにこれから若手の突き上げにより、ベテラン陣が奮起していくような環境ができれば、日本チームはもっとできるという手応えは感じられた。
次回のデ杯は、再度アジア/オセアニアゾーン・グループ1の1回戦からの挑戦となる。
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