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2007.4.4 第29回全国選抜高校テニス大会レポート

















写真提供:読売新聞西部本社

全国高等学校体育連盟テニス部
副部長  沢野唯志

開会式

3月21日、博多の森センターコートの上空には抜けるような青空が広がっていた。

第29回全国選抜高校テニス大会の開会式、入場行進である。全国9地区から選抜された男女各50校の精鋭が桜の開花を告げる暖かい日差しを受けて堂々の行進を繰り広げた。各校キャプテンはセンターコートに整列し、選手たちはカラフルなウエアに身を包んでスタンドから開会式に臨んだ。それは色彩豊かな夢の世界のパッチワークのような美しさであった。昨年度男女優勝校長尾谷高校から優勝旗が返還され、渡辺康二日本テニス協会専務理事は、「諸君の世代が、日本のテニス界をリードしている。この大会を通じて世界に羽ばたいて欲しい。」と激励の言葉を贈った。

選手を代表して秋田聖霊女子短期大学付属の坂谷 泉主将が、「郷土の代表として出場していることに誇りをもち、私たちを支えてくださるすべての方々に感謝して精一杯戦います。」と爽やかに宣誓した。

アトラクションには、世界を舞台に活躍している精華女子高校吹奏楽部が華麗なマーチングバンドを披露し、センターコートは音楽と踊りの饗宴の場となり、感動と拍手に決戦前夜の雰囲気は最高潮に達した。


団体戦

団体戦はシード4校を選び、フリー抽選で組み合わせが決定される。シード校に選出されたのは、男子が連覇をねらう長尾谷(大阪)、全国高校総体優勝の柳川(福岡)、九州大会を制した龍谷(佐賀)、関東大会優勝の東海大菅生(東京)、女子は、全国高校総体優勝の長尾谷(大阪)、九州大会優勝の柳川(福岡)、高校総体準優勝の宮崎商業(宮崎)、関東大会を制した富士見丘(東京)である。しかし、今大会は、序盤からハイレベルな戦いが展開され、シード校が初戦で敗退するという波乱の選抜となった。

ベスト8に進出したのは、男子、長尾谷(大阪)・麗澤瑞浪(岐阜)・法政二(神奈川)・湘南工大付(神奈川)・東京学館浦安(千葉)・札幌藻岩(北海道)・浦和学院(埼玉)・柳川(福岡)、関東4校、近畿1校、北海道1校、東海1校、九州1校となり、関東勢の躍進が目立つ結果となった。

女子は、園田学園(兵庫)・浦和学院(埼玉)・仁愛女子(福井)・柳川(福岡)・長尾谷(大阪)・早稲田実業(東京)・樟蔭東(大阪)・富士見丘(東京)、関東3校、近畿3校、北信越1校、九州1校となり、今年も関東近畿の層の厚さが示された。

特筆されるのは20回出場の特別表彰を受けた浦和学院(埼玉)が男女ともにベスト8という活躍を見せたことである。20年度のインターハイを控えて着実に強化が進んでいることがうかがわれた。

男子優勝は柳川、3年ぶり15度目の栄冠である。柳川は九州大会で龍谷に敗れ、「全国選抜で優勝」を合い言葉に今大会に臨んできたが、決勝の湘南工大付属との戦いは、シングルNO1の片山 翔と守屋宏紀の結果がすべてであったと言っても過言ではない。高校テニス界をリードする両雄の対決は決勝戦にふさわしい熱戦となった。「優勝するには自分が勝つことが絶対条件」とする片山の硬さをついて守屋は6-4で1セットを奪ったが、徐々に落ち着きを取り戻した片山に3-6、1-6で逆転を許した。絶対的なチームの柱である片山の存在が柳川の優勝の原動力となった。

湘南工大付属はノーシードながら、エース守屋を軸に快進撃を遂げた。準決勝長尾谷との戦いは、今大会のハイライトともいえる好試合であったが、総力戦で優勝候補の一角、長尾谷を下した。

東京学館浦安は、シード校龍谷を3-2で下した。ダブルス1、ダブルス2、シングル3を取るという巧みな試合運びで、今大会の台風の目となった。

長尾谷は、初戦から明石城西、名古屋という強豪に競り勝ってベスト4に進んだが、湘南工大付属に一歩及ばなかった。インターハイでの巻き返しを図りたい。

女子は長尾谷の完璧な優勝となった。1ポイントも落とすことなく、他チームに付け入る隙を与えない圧倒的な2連覇であった。選手層の厚さと、練習量の豊富さは、他の追随を許さない感があった。

準優勝は伝統校園田学園。シード校宮崎商業を破って波にのり、湘南工大付属、浦和学院という関東の強豪校に競り勝った。準決勝の仁愛女子戦は、今大会屈指の手に汗握る好試合であった。

仁愛女子は今年も鍛え抜かれた粘り強い戦いを展開し、多くの人々に感動を与えた。傑出した選手はいないが、団体戦の戦いを熟知している吉田監督の采配が光っていた。

富士見丘は、エース大竹志歩を中心に良くまとまった好チームであった。安定した戦いでベスト4に進出したが、長尾谷には及ばなかった。

3月26日センターコートにおいて盛田日本テニス協会会長は、優勝旗とともに次の言葉を贈った。「団体戦は学校の名誉と感動のために戦うという素晴らしいステージである。それは、世界の平和のために自分を超越して戦うことにも通じる。全国選抜の団体戦は貴重な大会でありこれを通じて人間力を養って頂きたい。」


個人戦

個人戦の男女優勝者は9月にニューヨークで開催される「全米オープンジュニア選手権」に、上位入賞者男女4名は8月末中国で行われる「日・中・韓ジュニア交流競技会」に派遣される。昨年度は、伊藤竜馬選手が予選を突破し、本戦でも2回戦に進出したことは輝かしい成果として記憶に新しいところである。

九州国際テニスコート(ハードコート)には各校のNO1が集い、高校テニス界最高峰の戦いが展開された。

男子ベスト5は次の選手。片山 翔(柳川)・廣田耕作(龍谷)・長尾克己(長尾谷)・大野貴央(東海大菅生)・沼澤裕太(法政二)

決勝は片山と廣田の九州対決。急速に力を付けて来た廣田は、サウスポーから積極的に攻撃を仕掛けたが、片山は落ち着いた試合運びと力強いサーブで要所のポイントを確実に取り、結果は片山のストレート勝ちとなった。名実共に高校テニス界の頂点に立った片山の世界への挑戦が開始される。

廣田は1年生ながら歯切れ良いショットで決勝まで進出した。将来性豊かな選手で、今後の成長が楽しみである。

女子ベスト6は、小城千菜美(長尾谷)・大竹志歩(富士見丘)・田中優季(椙山女学園)・松島美智留(園田学園)・荒木史織(宮崎商業)・桑田寛子(早稲田実業)。

優勝したのは小城、決勝はサウスポーからの強烈で正確なストロークを駆使して大竹を圧倒した。

田中との準決勝は、観客のすべてに感動を与える素晴らしいラリーの応酬となった。セカンドセットは田中の優勢のうちに展開したが、最後は小城の集中力が勝った。

小城にとって課題となるのはサーブ力の強化であろう。「全米オープンジュニア選手権」では、女子選手として初の予選突破をしてほしいものである。


おわりに

心に残っていることは、ほとんどの参加選手と引率の監督が会場を去るとき、運営の生徒と本部の役員に対して笑顔で「ありがとうございます」と感謝の言葉を述べていたことである。

福岡県高体連テニス部の高校生は選抜大会を成功させるために、数回に亘り審判講習会を開催し、補助員の皆さんは、早朝から夜遅くまで精力的に献身的に奮闘した。大会のキャッチフレーズは、「福岡経由世界行き」であるが、開催地を移してから4年を経過し、着実に「SENBATSU」が福岡の地に根付きつつあることを実感している。

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