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2006.08.27 全日本ジュニアテニス選手権'06 レポート



U-12:男子シングルス優勝
高田 航輝


U-12:女子シングルス優勝
穂積 絵莉


U-12:男子ダブルス優勝
大長 俊貴 / 高田 航輝


U-12:女子ダブルス優勝
鮎川 真奈 / 小和瀬 望帆


U-14:男子シングルス優勝
金城 充


U-14:女子シングルス優勝
石津 幸恵


U-14:男子ダブルス優勝
中川 航 / 夏目 脩平


U-14:女子ダブルス優勝
美濃越 舞 / 石津 幸恵


U-16:男子シングルス優勝
守屋 宏紀


U-16:女子シングルス優勝
奈良 くるみ


U-16:男子ダブルス優勝
遠藤 豪 / 鈴木 昂


U-16:女子ダブルス優勝
岩崎 舞 / 坂東 未来


U-18:男子シングルス優勝
杉田 祐一


U-18:女子シングルス優勝
的場 裕加


U-18:男子ダブルス優勝
杉田 祐一 / 鵜沢 周平


U-18:女子ダブルス優勝
井上 明里 / 越野 由梨奈

ダンロップ全日本ジュニアテニス選手権’06 supported by NISSHINBO 総評

大会運営委員長 日本テニス協会常務理事
佐藤 政廣

梅雨の豪雨が明けると記録的な熱暑が続いた大阪。「皆よく戦った」とねぎらいの拍手をまずおくりたい。

大会は8月4日からスタートし16日まで、厳しい気候にもかかわらず全国から元気なジュニアが集い、春からの練習の成果をおもいっきり発揮してくれた。一つ一つの試合に無駄なプレーはなく、年々に洗練されたテクニックの展開に、観客の間には驚きの声が飛び交った。

最初に、本大会が大阪に会場を固定して開催するようになった理由を振り返っておこう。まず、ジュニアテニスにとって野球の甲子園のような憧れの地を作りたいという願いが長くあったこと。固定して開催することにより運営にノウハウが蓄積されて効率的・効果的・合理的な運営が可能になること。そして何よりも国際舞台に躍進する条件であるコートサーフェスが整っていること。加えて、行政・メディア・スポンサーの支援体制を一貫してもらうこと。これらすべてが連鎖してこそプレイヤー主体の大会の開催が可能になるという理由であった。

さて、競技力の向上が問われるのは、テニスが歴史的にスタートしたときからの論点であってきた。国際的な活躍する選手を育成しようとすれば、育成の結果としての大会で勝利することに他ならない。どこかでお話したと思うが、かつてオレンジボウルの大会でベースラインプレーが主流であるから、帰国後それへの練習を徹底して翌年に備えた。ところが翌年はネットプレー主体になっていた、という皮肉な現象が繰り返された。しかし、近年、我が国のジュニアは国際大会で上位のランクに並べられ、戦えるテニス技術の修得にも時差はなくなったと言える。上位ランクは、選手だけでなくコーチたちの国際舞台での経験も大きく関与しているのだ。

だから、全日本ジュニアのレベルは高いと言いたいのである。世界で戦って得た技術・戦術・情報を多くの人達の前で展開してくれるのである。それを12歳から18歳までそれぞれの国際的なプレーを比肩して観察し、足らないところを補う努力目標を大阪で学ぶことができるのである。例えば、12歳、14歳の表彰式をご覧いただきたい。くっきりと体格や体力、技術の成長の到達度と域の輪郭が認識される。世界のスケールで我が国のジュニアたちの中期的な目標が何であるのかを手にとってわかるのである。次世代が着実に育っているかどうかを確認することも本大会の意義なのである。育成・強化施策と大会の整備の施策とは比例していることがお分かりいただけることと思う。

前置きが長くなった。それでは、年齢区分ごとに本大会を振り返ってみたい。


12歳以下


 素晴らしいチャンピオンが生まれた。男子シングルスの優勝は第一シードの高田航輝君(東海・佐鳴台ローンTC)。準決勝では大西遙君(中国・柳生園TC)の追撃を振り切り、決勝では第二シード岡本大輝君(中国・ふくいTC)に競り勝った松浦優太君(関東・ファーイーストJTA)を下した。高田君はダブルスでも大長俊貴君(東海・ウィンビレッジTC)と組んで優勝の二冠を得た。戦術の上手な松浦君にどのような手段で立ち向かうのかを楽しみに見た。とにかくテニスが好きで上手いという感じだ。のびのびと大きなテニス。シングルスのこの四人、もっともっと世界のテニスを学んでもらいたい。

女子シングルスは穂積絵莉さん(関東・PITA)の勝利。小和瀬望帆さん(関東・TTC)のゲーム後半からの追い上げに対して、冷静なボールコントロールが一つ優っていた。二人とも笑顔が猛暑を忘れさせてくれる。観客も自然と笑顔で拍手。第一シードの鮎川真奈さん(関東・ポイヤルSCTA)もストロークが良かった。穂積さんをかなり追い詰めたが一手不足に苦しんだ。しかし、貴重な経験としてこれからに活かしてもらいたい。

ダブルスでは、小和瀬・鮎川チームが畑守美里・小山楓チーム(関西・四之宮TC)をフルセットで振り切り栄冠に輝いた。シングルスでダブルスのテクニックを発揮していればシングルスの勝者も変わっていたかもしれない。「来年もまた組んで優勝しようね」のチャンピオンスピーチに会場は太陽よりも明るくなった。

U-12 男子シングルス決勝

高田 航輝(東海・佐鳴台ローンTC)
7-6(3) 6-4
松浦 優太(関東・ファーイーストJTA)

U-12 女子シングルス決勝

穂積 絵莉(関東・PITA)
6-4 7-5
小和瀬 望帆(関東・TTC)

U-12 男子ダブルス決勝

高田 航輝(東海・佐鳴台ローンTC)/大長 俊貴(東海・ウィンビレッジTC)
6-4 6-2
白井 絢太(関東・ファーイーストJTA)/守谷 総一郎(関東・ファーイーストJTA)

U-12 女子ダブルス決勝

小和瀬 望帆(関東・TTC)/鮎川 真奈(関東・ロイヤルSCTA)
6-4 3-6 6-3
畑守 美里(関西・四ノ宮TC)/小山 楓(関西・四ノ宮TC)

14歳以下


 男子シングルスは第一シードをキープした金城充君(九州・仲井真中)が優勝。しっかりとしたスタンスから繰り出すグラウンドストロークはもう16歳の域に。一回戦から観戦していたが、回を重ねるごとに自信をたくましく重ねていく。今後はネットプレーに力を注いでもらいたい。サーブ力、レシーブ力、攻撃力がたっぷりの選手。川崎光君(関東・エースTA)はワンサイドで敗れはしたものの、多くのプレイヤーが見習なうべきものが多々あるさわやかな彼だ。コンディショニングを秋からコーチと相談して進めてもらいたい。

ダブルスは本当に上手かった。中川航・夏目脩平君(東海・森林ロングウッドTC・ニューウィンブルドンTC)のチームワークが素晴らしい。ダブルスの根本である「信頼」が強く二人の間にあった。スポーツの目的を具現化させている。ファーストセットのタイブレークはその場面だった。矢野隆志・的野倫平チーム(中国・I出雲・グリーンベアーズ)も動きが良かったが、サーブ力の差がランナーアップとなった。今大会に多く見られた所属が異なっても上位に食い込む。これは今後の海外トーナメントでも生きてくる。

女子シングルスは北海道の石津幸恵さん(北海道・岩見沢テニス協会)。恵まれた体格から繰り出すサーブとストロークは際立っていた。決勝の相手は関東の美濃越舞さん(関東・オールサムズTC)。ファイナルセットに入ると石津さんはリズムを取り戻した。ここから、ああ・・・。上手い。やるぅ・・・。難しいベースラインからナチュラルなアングルショットが飛び出す。沢松奈生子の14歳の頃に似ている。誰が教えたのだろうか。アングルショットを打ち出すタイミングとテンポを。美濃越さんのリターンは素晴らしくよく頑張った。彼女にはパワーアップがテーマだろうか。

この二人がダブルスを組めばどうだろうかと思っていたら、まさかのドロー会議で実現した。結果は記録のとおり、大塚弥生・村上亜利沙チーム(関西・園田学園中・A&F)をファーストセットダウンにもかかわらずフルセットの末に下した。ダブルスでは両チームともポーチングが小刻みよく出ていた。世界で活躍する杉山愛プロが子供たちを励ましているのかもしれない。

国内外の団体戦でダブルスは貴重な席を占めていることをもっともっと伝えなくてはならないと思う。

14.12才以下の決勝戦で全日程の半分が終わる。重要なことを付け加えておきたい。それは、暑さの中でのコンディショニングについてである。大会トレーナーから12歳以下のプレイヤーに関して、手首の故障が多いと報告されている。テクニックから来るものかどうかについて選手と指導者は確かめられたい。

U-14 男子シングルス決勝

金城 充(九州・仲井真中)
6-0 6-1
川崎 光(関東・エースTA)

U-14 女子シングルス決勝

石津 幸恵(北海道・岩見沢テニス協会)
6-1 5-7 6-2
美濃越 舞(関東・オールサムズTC)

U-14 男子ダブルス決勝

中川 航(東海・森林ロングウッドTC)/夏目 脩平(東海・ニューウィンブルドンTC)
7-6(4) 6-2
矢野 隆志(中国・I出雲)/的野 倫平(中国・グリーンベアーズ)

U-14 女子ダブルス決勝

石津 幸恵(北海道・岩見沢テニス協会)/美濃越 舞(関東・オールサムズTC)
2-6 7-5 6-3
大塚 弥生(関西・園田学園中)/村上 亜利沙(関西・A&F)

16歳以下


 男子シングルスは安定感ある守屋宏紀君(関東・荏原SSC)。ベースラインから繰り出すリズミカルなストロークは高く・深く相手コートにボールを打ち込む。彼にパワーが加わればどのようなテニスになるのか楽しみだ。勝負どころをわきまえた慎重派。指摘するならフォアハンドストロークの弾道の安定を望みたい。対する渡辺輝史君(関東・荏原SSC)。長身を活かしたサーブは強烈。ますます磨きをかけてもらいたい。二人には僅差しかないと思った。

この年齢で印象に残ったのは江原弘泰君(関東・Fテニス)だ。昨年の14歳以下の優勝者。フットワークとバランスが抜群な期待したい一人だ。

ダブルスは遠藤豪・鈴木昂チーム(東海・リッチヒルTC/関西・東山TC)がフルセットの末に廣田耕作・守屋宏紀チーム(九州・龍谷高/関東・荏原SSC)を抑えて勝利。決定的なのは鈴木君のサーブ力がものを言う一戦だった。しかし、全年齢を通して見てみるならば、この年齢でのダブルスの強化は怠ることが出来ないはずだ。地域単位でさらに実力をつけてもらうようお願いしたい。

女子シングルスはワンサイドと思われた奈良くるみさん(関西・大阪産大附属中)。しかし、同タイプの相手の田中優季さん(東海・椙山女学園高)も調子が良い。第一セット7-6、奈良さん。奈良さんのサーブの上達には目を見張る。この差が勝敗を決した。セカンドセットも競り合いながら奈良さんの優勝が決まった。

ダブルスは坂東未来・岩崎舞チーム(関西・栗東高)が、素晴らしいコンビネーションとパワー・スピードのあるプレーで加藤ゆい・土居美咲チーム(関東・武蔵野ドームTC/アポロコーストTC)に勝利した。

U-16 男子シングルス決勝

守屋 宏紀(関東・荏原SSC)
6-3 6-1
渡辺 輝史(関東・荏原SSC)

U-16 女子シングルス決勝

奈良 くるみ(関西・大阪産業大附中)
7-6(3) 6-1
田中 優季(東海・椙山女学園高)

U-16 男子ダブルス決勝

遠藤 豪(東海・リッチヒルTC)/鈴木 昂(関西・東山TC)
6-3 4-6 7-5
廣田 耕作(九州・龍谷高)/守屋 宏紀(関東・荏原SSC)

U-16 女子ダブルス決勝

坂東 未来(関西・栗東高)/岩崎 舞(関西・栗東高)
6-2 7-6(3)
加藤 ゆい(関東・武蔵野ドームTC)/土井 美咲(関東・アポロコーストTC)

18歳以下


 男子シングルスは、第一シード杉田祐一君(関東・湘南工科大附属高)と第二シード伊藤竜馬君(関西・大阪テニスアカデミー)との一騎打ち、という感じがした。杉田君はダブルスパートナーの鵜沢周平君(関東・TTC)をストレートで下し、伊藤君はインターハイ優勝者の片山翔君(九州・柳川高)を双方猛打の末破り、それぞれファイナルへ。結果は杉田君の一方的な展開に終始した。伊藤君も局所ではファインプレーを披露してくれたのだが、ポイントにつながる気配は終始薄かった。杉田君はここ数年の中で一番優れたチャンピオンだと思う。今日はファーストサーブが良い。また、フォアハンドストロークもぐんぐんボールを引っ張りまわすように、戦術的なショットに拍手が沸いた。ボールへの入り込みは素早く、フレンチでの錦織君と並べたいほどの出来だった。この一年間で脚力・腕力・向上心・洞察力がよくもまあ成長したと、若さの尊さを実感せずにいられなかった。これから直ぐにでも目標設定を数段あげてもらいたい。そのためには、対応能力を高めることだと思う。長身の相手にどう挑むかであろう。

ダブルスは杉田・鵜沢チームが奥大賢・長尾克巳チーム(関西・大阪テニスアカデミー)をストレートで下した。杉田・鵜沢チームの的確なショットが輝いていた。

女子シングルスは、対戦相手の小沢槙穂さん(関西・大阪テニスアカデミー)が、ゲームがスタートしてすぐにリタイヤーということで的場裕加さん(関西・大阪テニスアカデミー)の勝利に終わった。的場さんはインターハイ・個人シングルス優勝に続く快挙である。前日の大阪は37.8℃。測り方によれば40℃であったかもしれないほど、息をすれば苦しくなるほどだった。大会では体調管理も大きな武器になる。次の大会に期してもらいたい。

ダブルスは、井上明里・越野由梨奈チーム(九州・沖縄尚学高/東海・愛知産業大工業高)が濱崎歩・小沢槙穂チーム(関西・大阪テニスアカデミー)を振り切って優勝。井上と越野さんはシングルスで不覚をとり両者ともベスト32に終わったが、どうしても優勝したい一念でカップを手中にした。手に汗握る戦いだった。

U-18 男子シングルス決勝

杉田 祐一(関東・湘南工科大附高)
6-3 6-0
伊藤 竜馬(関西・大阪テニスアカデミー)

U-18 女子シングルス決勝

的場 裕加(関西・大阪テニスアカデミー)
7-6(3) RET
小沢 槙穂(関西・大阪テニスアカデミー)

U-18 男子ダブルス決勝

杉田 祐一(関東・湘南工科大附高)/鵜沢 周平(関東・TTC)
6-3 6-2
奥 大賢(関西・大阪テニスアカデミー)/長尾 克己(関西・大阪テニスアカデミー)

U-18 女子ダブルス決勝

井上 明里(九州・沖縄尚学高)/越野 由梨奈(東海・愛知産業大工業高)
6-4 4-6 7-5
濱崎 歩(関西・大阪テニスアカデミー)/小沢 槙穂(関西・大阪テニスアカデミー)

表彰式


 18.16歳以下の表彰式は靱テニスセンター・センターコートで行われた。杉田選手が優勝者を代表して、「大会関係者の皆さん・スポンサーの皆さん・審判員の皆さん長い間ありがとうございました。全日本ジュニアというなかなか取れないタイトルを手にして大変うれしく思います。・・・・16歳で優勝した皆さん。さらに頑張って世界を目指してください」、と清々しいチャンピオンスピーチをしてくれた。

総じて、日ごろのコーチングレベルの高さを認識するゲーム展開の内容であった。同時に、マナーの向上も優れていた。つまり、ここまで家族・コーチ・学校等の皆さんの努力でプレイヤーを育てる環境を整えていただいたのだ。国際的な競争力の基盤はもう完成に近いものと思われる。となれば、世界に追いつけではなく、世界をリードするテニス戦略をテニス協会が打ち立てることが将来を託すジュニアたちにすべきことであると強く思うのである。

「テニスの競技は静かに始まり感動と共に静かに終わるのである」。本大会の運営主管者である関西テニス協会はこれをコンセプトに進めてきた。今年の大会風景には選手や関係者の動静に落ち着きらしいものが見え始めた。新しい皆で作る全日本ジュニアの伝統が始まろうとしているのではないかと思った。

ふと見上げると秋空のようだ。関西のテニスの夏は終わろうとしている。本当に皆さんご苦労様でした。

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