「06総体THE近畿」団体男子は柳川、女子は長尾谷が優勝。シングルス男子は片山 翔が、女子は的場 裕加が優勝を飾った。
全国高等学校体育連盟テニス部
副部長 沢野 唯志
「君がひかり 近畿の空は青くそまる」のスローガンのもと、平成18年度全国高等学校総合体育大会「06総体THE近畿」のテニス競技が、神戸総合運動公園テニスコート・しあわせの村テニスコートで開催された。このインターハイを待っていたかのごとく、長かった梅雨空は見事に晴れ上がり、今年も猛暑の中での試合となった。あの阪神・淡路大震災から見事な復興を実現した神戸は、若いテニスプレーヤを熱く迎えてくれた。
ここ神戸での開催は、昭和63年・第78回大会以来となる。18年前は、女子は兵庫県対決となり、団体での園田学園と夙川学院・個人での伊達公子と沢松奈生子の名勝負はインターハイの白眉として今も語り継がれている。
今年も、歴史と伝統に育まれた素晴らしい試合が初日から繰り広げられた。
会場は、グリーンアリーナ神戸。アトラクションは神戸市立兵庫商業高校「龍獅団」による『龍の舞』である。国際都市神戸らしい、異国情緒あふれる歓迎の舞に参加選手はインターハイ出場の実感を持ち、勝利への決意を固めたに違いない。
盛田正明日本テニス協会会長は次の言葉を、関係者と選手に贈った。
「伝統ある今大会を支えておられる関係者各位に感謝申し上げる。選手諸君にはテニスを通して人間力を高めていただきたい。ウィンブルドン男子シングルス決勝戦での一瞬の出来事である。チェンジコートの際、フェデラーとナダルがネットの近くで交錯した。すると、両者とも一歩後ろに下がり、先を譲った。王者フェデラーが先に手を出し促すと、ナダルは礼をしてベンチに向かったのである。この一瞬の出来事に私は感動した。勝利を目指した熾烈な戦いの中でも、相手に敬意を払うフェアプレーの精神が大切なのである。」
芦屋大学付属高校生徒会長行政亜耶子さんの言葉。「希望を持って、自分を信じ、困難を克服する精神で試合に臨み、さらに競技を通して友好の輪を広げていただきたいと願う。」
男子ベスト8は、長尾谷(大阪)・湘南工大附(神奈川)・名古屋(愛知)・東京学館浦安(千葉)・明石城西(兵庫)・東海大菅生(東京)・東山(京都)・柳川(福岡)。
女子は、長尾谷(大阪)・仁愛女子(福井)・筑陽学園(福岡)・四天王寺(大阪)・富士見丘(東京)・夙川学院(兵庫)・湘南工大附(神奈川)・宮崎商業(宮崎)
男子はシード校が6校残り、女子はシード校がすべて進出するという実力校の激突となった。
男子優勝は柳川。春の選抜に競り負けた悔しさをバネに、巻き返しに燃える思いの強さが勝敗を分けた。3年連続24度目の栄冠である。決勝戦は伝統校柳川と選抜優勝の新勢力長尾谷との対決となった。ダブルスは長尾谷、シングルス2は柳川が取り、勝敗の行方は柳川・片山と長尾谷・伊藤のエース対決に持ち越された。35度を越す灼熱の太陽の下3時間の激闘を制したのは片山。柳川・本田監督の次の言葉が印象的である。「ボールをコートの外に出さない。ネットにかけない。意欲を失わない。この3点を心掛けて練習を積んだ。」「技術より戦い抜く気持ち。これが高校生には大切だ。」
長尾谷の春夏連覇は惜しくもならなかったが、両雄はまた春の選抜で、更なる名勝負を展開するに違いない。地元、明石城西の健闘は大いに会場を沸かせた。組織的な応援は選手たちを奮い立たせ、頂点に立つことも視界に見えてきたといえるであろう。名古屋は第5シードであったが、見事な戦いぶりで、強豪復活を強く印象づけた。
女子優勝は、春夏連覇の偉業を達成した長尾谷。優勝候補筆頭というプレッシャーをものともせず、豊富な練習量と万全の布陣で念願のインターハイ初優勝を勝ち取った。準優勝は宮崎商業。準々決勝から苦しい戦いを余儀なくされたが、迫田監督のもと鍛えられた精神力とテニスに対するひたむきな姿勢が決勝戦でも大いに発揮された。すべての高校テニスの模範とすべきチームであった。
夙川学院は地元の期待を一身に受けて大いに健闘した。宮崎商業との準決勝は、今大会女子団体でもっとも印象に残る名勝負であった。近畿大会優勝校の四天王寺は堂々の戦いぶりであったが、本大会では一歩及ばなかった。仁愛女子は優勝した長尾谷を最も苦しめ、昨年度優勝校の意地を見せた。
団体戦全体を通して言えることは、地域間の実力が確実に接近してきているということである。1回戦から白熱した試合が展開され、どのチームが上位進出してもおかしくはないという情勢になってきた。
ベスト8は次の選手。
男子、片山 翔(柳川)・佐野 光(東山)・富崎優也(龍谷)・井上貴博(柳川)・佐野紘一(明石城西)・二村貴也(名古屋)・長尾克己(長尾谷)・伊藤竜馬(長尾谷)
女子、的場裕加(長尾谷)・須賀 悠(筑陽学園)・田中優季(椙山女学園)・小城千菜美(長尾谷)・濱崎 歩(長尾谷)・小沢槙穂(四天王寺)・谷口絢野(栗東)・品田祐希(仁愛女子)
地域別に見ると、男子は近畿4名、九州3名、東海1名、女子は近畿5名、九州1名、東海1名、北信越1名となり、地元近畿の大躍進が明らかになっている。
男子シングルス優勝は片山 翔選手。団体戦で競り勝った勢いをそのまま持ち越して、伊藤竜馬選手を総合力で圧倒した。センターコートには台風接近を思わせる強風が舞っていたが、片山選手はそれをものともせず、堂々の優勝であった。伊藤選手には、USオープンジュニアでの活躍を期待したい。
ベスト4は、富崎優也選手と佐野紘一選手。富崎選手は、オールラウンドプレーヤーで将来性豊かであるが、サーブ力の強化が課題であろう。佐野選手は、強力なストロークで準決勝まで勝ち進んだが、伊藤選手の力に圧倒された。
今大会では順調にシード選手が勝ち進んだが、片山選手と伊藤選手の実力が傑出しており、両雄対決が大いに大会を盛り上げた。
女子シングルス優勝は的場裕加選手。品田祐希選手との決勝戦は、3時間半の激闘となったが、ファイナルセットにおいて、ショットの多彩さを発揮した的場選手が振り切る結果となった。品田選手はストロークの正確さと勝負強さを随所に見せたが、ファーストサーブの確率が低かったことが惜しまれる。
ベスト4の小城千菜美選手は、しぶとさとサウスポー独特のサーブとフォアハンドを武器に上位まで勝ち進んだ。小沢槙穂選手は、激戦のブロックから接戦をものにして勝ち進んできた。競り合いでの試合運びの巧みさが特徴である。
ベスト4は次の通り。
男子、富崎優也・廣田耕作(龍谷)、篠川智大・杉本晃祐(長尾谷)、奥 大賢・長尾克己(長尾谷)、金城 光・比嘉 歩(沖縄尚学)
女子、濱崎 歩・高畑寿弥(長尾谷)、内田彩香・大竹志歩(富士見丘)、小笹衣利可・寺井祐紀子(夙川学院)、田島杏奈・田島亜也奈(県岐阜商)
男子ダブルスで長尾谷対決を制したのは篠川智大・杉本晃祐組。第4シードから安定した力を発揮して勝ち進み、巧みなコンビネーションが光っていた。奥 大賢・長尾克己組は力強いプレーで相手を圧倒してきたが、残念ながらファイナリストに甘んじた。
女子ダブルスの田島杏奈・田島亜也奈組の姉妹ペアは、妹の杏奈選手のサウスポーから繰り出されるフォアハンドの強打と姉妹ならではのコンビーネーションの良さが勝利につながった。初戦から思い切りのよいショットを連発し、次々とシードを撃破して、快進撃を見せ、栄冠を勝ち取った。内田彩香・大竹志歩組は、それぞれの個人技を生かして健闘したが、後一歩及ばなかった。
大会期間中、神戸は澄み渡った青空に恵まれた。しかし、連日30度を超える灼熱の太陽の下、1時間毎に熱中症注意を喚起するアナウンスが会場に響き渡った。オフィシャルボードには熱中症予防のポスターが貼り出され、監督連絡会においても、選手の体調管理には十分留意して頂きたいと訴えた。インターハイは高校テニスの最高峰の大会であり、100周年を間近にひかえた伝統ある大会である。しかしながら近年、気象条件が過酷を極め、選手に不測の事態が発生する恐れも出てきている。選手の健康管理に格別の配慮をされた神戸市実行委員会に敬意を表したい。
さて、兵庫県高体連テニス部の役員の皆さんは燃えるような赤のポロシャツ、補助員審判の高校生は濃紺のユニフォームに黄色のバンダナで揃えるというファッションの街神戸らしいオシャレな雰囲気が漂っていた。早朝から補助員の生徒諸君のすがすがしい挨拶の声が響き渡り、幾多の名勝負を生んだ風格のあるテニスコートは緊張感に包まれていた。
表彰式の司会を務めたのは芦屋大学付属高校の女子生徒の皆さん。純白のセーラー服が印象的であった。「佐賀でまたお会いしましょう。ありがとうございました。さようなら。」美しい花々と赤い絨毯に、入賞した選手達の晴れがましい笑顔が映えていた。
宮内レファリーをはじめとする、兵庫県高体連テニス部の皆さんすばらしいインターハイを運営してくださいましてありがとうございました。インターハイの歴史は佐賀へと継承されます。