デビスカップ・中国戦は日本が5戦全勝で完勝!
JTA公式メールマガジンTennis Fan編集部
デ杯・アジアオセアニアゾーングループ1/1回戦は大阪・なみはやドームで行われ、日本が中国に完勝し、タイとの2回戦に進出!
第1日
広報委員・フリーライター 秋山 英宏
シングルスで2勝。若手とベテランの力ががっちり噛み合った日本チームが最高の出足を見せた。第1試合で本村剛一がフルセットの末に中国の王■(金へんに玉:Wang Yu)を振り切り、先勝。第2試合では、デ杯出場2戦めの添田豪が本来のテンポの早いテニスを見せ、孫鵬を圧倒した。第2日(土曜日)はダブルスが行われ、これに日本が勝つとアジア/オセアニアゾーン/グループ1・2回戦進出となる。
Rubber 1
本村が最初の2セットを連取。コートサーフェスに慣れない王はミスが早く、力みも見られた。しかし、ここから試合は予想外の展開となる。後がなくなった王が、開き直ったような攻撃を見せた。「相手のフォアハンドを攻め、ファーストサービスも攻撃性を高めた。できるだけ相手に休む機会を与えないようにした」と王。高い打点からの強打がベースライン深く入り、本村を守勢に回した。
逆に本村のプレーがトーンダウンした。第3セット途中から、チェンジエンドのたびに竹内映二監督に太ももをマッサージしてもらう姿が見られた。「直前合宿で痛めた左太ももが第2セット途中からまた痛み出した」という。王が第3、第4セットを連取し、決着は第5セットへ。流れは王に傾き、本村はやや覇気を失っているように見えた。しかも、本村の右手はけいれんを起こしかけていた。
勝負の第5セット。本村のグラウンドストロークが勢いを取り戻していた。「無理をしないように、来たボールに合わせて返していたが、それがいいショットにつながった」と本村。一時は、リードを奪った気の緩みと足の痛み、そして追い上げられた焦りで「周りが見えなくなっていた」本村だが、再び集中が戻った。第5セットに入ったところで「相手のほうがかなり若いが、デ杯での経験は僕の方が上。相手には負けないという気持ちを持ちながら、あとは自分との戦い」と気持ちを切り替えた。
左足の痛みは相変わらずで、右手のけいれんが全身に移る不安もあった。しかし、けいれんを避けるために体の力を抜いた分、ボールが伸びを取り戻したのだ。最終セットは本村が最初から主導権を握り、そのまま最後まで突っ走った。「チャンスもあったが、そこで緊張してしまった。そこが経験の差かなと感じた」と王。デ杯で単複通算22勝を挙げている32歳のベテランが、3時間14分の熱戦を制し、日本に貴重な1勝をもたらした。
Rubber 2
デ杯出場が2戦目とは思えない添田のプレーだった。早いリズムで躍動感のあるテニスを最初から最後まで続け、孫を圧倒した。「出だしは緊張したが、最初にブレークしたのが大きかった。これで緊張がとけて、自分のやりたいテニスができた」と添田。
「ボールのキレがよかった。最後のサービスダウンがなければ、『(世界ランキング)100位以内のプレーだった』と褒めてあげようと思っていた。今日のプレーは90点」と竹内監督も絶賛した。相手の孫も「自分もまあまあの出来だったが、相手がもっといい出来で、いい試合運びをしたと思う」と脱帽するプレーだった。
初日に2勝を挙げた日本が王手をかけた。しかし竹内監督は「僕は2-0とは思っていない」と気を引き締める。「両チームとも1番手と2番手の力の差はない。もし明日のダブルスを落とすようなことがあれば、最終日はもつれるだろう。明日は初戦のつもりで臨む。まだ緊張感は続いている」。とはいえ、シングルスで確実に白星を稼いだ日本が優位に立ったことは間違いない。
第2日
広報委員・フリーライター 秋山 英宏
前日のシングルスで2勝を挙げ、王手をかけた日本チーム。この日のダブルスはフルセットにもつれ込む接戦だったが、勝負どころで松井俊英/岩渕聡が力を発揮し、中国ペアを振り切った。これで日本の3勝となり、アジア/オセアニアゾーン・グループ1の2回戦進出が決まった。最終日は3セットマッチに変更してシングルス2試合が行われる。4月7~9日に行われるグループ1・2回戦の対戦相手はウズベキスタン-タイの勝者となる。
Rubber 3
2-0と王手をかけた日本チームだが、対中国戦勝利までの道のりは案外遠かった。主導権は両チームの間を何度も行き来した。第1セットは日本チームが圧倒。ところが、第2セット第4ゲームの松井のサービスダウンをきっかけに試合がもつれた。「第2セットの途中までは、完璧すぎるほどの(試合への)入り方だった。そこでちょっと油断があった」と松井。このセットはタイブレークで中国が奪う。第3セットは4-3からの第8ゲームで日本チームがブレークに成功。今度こそ波に乗るかと思われたが、第4セットでは再びトーンダウン。試合は第5セットに持ち込まれた。
第4セット終了後のトイレットブレークで、竹内映二監督は松井と岩渕にアドバイスを送った。「第4セットは相手ペアの『間』でプレーしていたから、主導権を渡してしまった。自信があるのは我々なんだ、相手はそれに合わせているだけなんだ、という話をした。来た球を迷いなくひっぱたこう、もう一度、考え方をゼロに戻し、自分たちの力を出そう、と言った」と竹内監督。
第5セットが始まった。第1ゲームのサーバーは松井。日本ペアの集中が素晴らしかった。細かいミスはあったものの、嫌な流れを断ち切るサービスキープだった。「第4セットは自信を持っていこうという思いが過剰になり、冷静になれなかった。第5セットは、ちょっとクールにというか、どうやって第3セットを取ったか思い出しながらやった」と松井。岩渕は「そんなに悪い流れとは感じていなかった。ファーストゲームを取れば、五分に戻せると思っていた」と振り返る。
第2ゲームに、日本ペアが試合を決定づけるサービスブレーク。30-40のブレークポイントで、岩渕が目の覚めるようなフォアハンドのパスを放った。この2ゲームで流れを引き寄せた日本チームが確実にサービスキープを続け、6-3で勝ちきった。もつれたものの、最後は全日本優勝ペアらしい落ち着いた試合運びだった。
勝利の瞬間、両選手は歓喜のジャンプ。そして、支え合ったパートナー同士、しっかりと抱き合った。中国ペアと健闘を称え合った松井は、主審との握手も忘れて応援団に歩み寄り、チームメイトやスタッフのひとりひとりと握手、抱擁を繰り返した。
岩渕は「途中で動きが落ちたが、そこでトシ(松井)がプッシュしてくれたし、自分に引きずられることなくサービスをキープしてくれた。デビュー戦とは思えないプレーだった」と年下のパートナーを称えた。松井は、まず「感動している。デ杯は無縁だと思っていたが、竹内監督になり、僕を使ってもらった。ありがとうございました」と監督に感謝の言葉。「今日は、気持ちだけでも岩渕さん以上のプレーをしようと思ってやった」と続けた。
竹内監督は「松井は初出場。彼自身にも不安があっただろうし、僕もどんな滑り出しになるか読めないところがあったが、非常にいい形で試合に入ることができた。松井がよく頑張ったことがこの結果につながった」と初めてチームに呼んだ松井を称えた。
これで日本チームのアジア/オセアニアゾーン・グループ1・2回戦進出が決定した。最終日の12日は、シングルスの残り2試合が行われる。竹内監督はまず、エース添田豪の起用を明言。足を負傷している本村剛一の様子を見たうえで、松井の起用もありうると語った。
第3日
広報委員・フリーライター 秋山 英宏
前日までに日本が3勝を挙げて勝利を決めたため、3セットマッチに変更してシングルス2試合が行われた。日本は足を負傷した本村剛一に代え、前日のダブルスで活躍した松井俊英をシングルス2に起用。第1試合の添田豪は王〓に快勝。松井も3セットで孫鵬を振り切った。アジア/オセアニアゾーン・グループ1の1回戦を突破した日本。2回戦は4月7~9日に敵地でタイと対戦する。
Rubber 4
添田の完勝だった。第2ゲームで王のサービスをブレーク、続く第3ゲームで0-40のブレークポイントをしのいだあたりで、試合の行方はほぼ決まった。添田が勢いのあるプレーでポイントを重ね、チームの勝利がなくなった中国の王は、劣勢の展開にモチベーションを落としていった。試合時間はわずか52分。チームの勝利が決まっても集中を持続させた添田の完勝だった。
「試合前は、集中できないのではないかと思ったが、コートに入るとお客さんも一杯で自然に気合いが入った。どうせ勝つなら4-1とか3-2より5-0で勝ちたいので、勝って松井君につなげたいと思ってプレーした」と添田。「大事なポイントを任されプレッシャーもあった。鈴木貴男選手、本村選手の大変さが分かり、勉強になった。目標はNo.1として出場し、勝つことなので、このまま続けられればいいと思う」と、初めてチームのエースを任されたこの中国戦を振り返った。
Rubber 5
新戦力の松井が、初めて起用されたシングルスでどんな試合を見せるか。試合の興味はその一点だった。松井自身の自己採点は「中の上」。「第1セットはいい感じで取れたが、第2セットで、4-2とできるポイントがあったのに取れなくて、もたついた。そこはちょっとした反省がある。ファイナルセットは相手の凡ミスにも助けられ、最後は締めることができた」と、シングルス初勝利にも、やや複雑な表情を見せた。とはいえ、これまでの日本選手にはないパワフルなプレーは魅力十分。迫力のあるサーブ&ボレーに、思い切りのいいグラウンドストローク。今後もデ杯チームの一員として暴れてくれるだろう。
竹内映二監督は「長く記録に残るデ杯戦。国を代表しての試合だけに、最後まで気を緩めず頑張ろうとミーティングで話した。ポイントが決まって気が緩みがちがなところをよく抑え、うまくだめ押しできた」と両選手をねぎらった。エース鈴木貴男を欠きながら、5-0の完勝。「選手たちは自信になっただろう。緊張感の中で一人一人がポイントを取れたことは、次のデ杯戦に役立つと思う」と竹内監督。新戦力の添田、松井がともに2ポイントを挙げる活躍。チーム力の底上げに、竹内監督も大きな手応えを得たはずだ。
2回戦はアウエーのタイ戦。竹内監督は「もちろん勝ちにいくが、強敵だ。特に、暑さの中でのウドムチョクは警戒しなくてはならない。彼を叩くことがポイントになる。選手選考は一度ゼロに戻し、今後の活動を見て選びたい」と話した。
※レポートはJTA公式メールマガジン【Tennis Fan】で速報したものから抜粋編集したものです。