|
日本テニス協会 広報委員 秋山 英宏
◇錦織圭が2セットダウンから逆転勝ち!
【1月19日 第4日】
男子シングルス2回戦、錦織圭は2セットダウンから地元豪州のマシュー・エブデンを破り、全豪では2年連続となる3回戦進出を決めた。伊藤竜馬はニコラ・マユ(フランス)に逆転で敗れた。女子ダブルスのクルム伊達公子/張帥(中国)は第14シードの謝淑薇(中華台北)/ガリナ・ボスコボワ(カザフスタン)に敗れた。
[男子シングルス2回戦]
1時間足らずで2セットを失った。第1セットのアンフォーストエラーは12本、第2セットはさらに増えて15本。エブデンのスローペースを持て余し、力んではミスする場面が多かった。「相手がよかったのと、風に対応できず、足が一歩動かず、ラケットの真ん中に当たらなかった」と錦織。ただし、これはあくまでも試合後、冷静さを取り戻してからの分析。「何をしてもうまくいかない」。コート上の錦織は、フラストレーションが募り、ラケットを叩きつけそうになる場面もあった。
しかし、2セットダウンとなったことで「開き直った」。2010年の全仏1回戦でも2セットダウンから逆転勝ちしている。「ピンチ(から挽回するの)は得意。開き直って攻めていきました」。もちろん無理はしない。「相手にプレッシャーをかけよう」と、攻撃的かつ堅実にプレーした。
第3セットも楽な戦いではなかった。相手の最初のサービスゲームをブレークしたものの、第4ゲームで追いつかれる嫌な展開。早いミスは減ったが、リズムに乗れない。それでも、4-4からの第9ゲームでワンチャンスをものにした。30オールからバックハンドのパスを決めブレークポイントを握ると「カモン!」の声が出た。エブデンがフォアをアウトし、錦織が5-4と一歩抜け出した。次のサービスゲームは簡単にキープ。1セットを奪い返し、踏みとどまった。
ここで両選手がトイレットブレークをとってからは、別の試合のようだった。錦織は力みが消え、リラックスした分、打ち出すボールには伸びが出た。試合序盤は安定していたエブデンがミスを重ねていく。あとは試合終了を待つだけだった。
「去年も3回戦だったし、シードとして3回戦までは行きたいと思っていた」とホッとした表情を見せた錦織。「ここからは思い切りいける」。これから対戦する相手は当然、強敵ばかりだが、難局を切り抜けたことで伸び伸びプレーできるだろう。
◇38年ぶりの快挙。男子の錦織と伊藤がそろって初戦突破!
【1月17日 第2日】
男子シングルス1回戦に、第24シードの錦織圭と主催者推薦で全豪初出場の伊藤竜馬が登場。初めてシード選手として四大大会に臨んだ錦織は106位のステファン・ロベール(フランス)を圧倒し、伊藤も62位のポティート・スタラーチェ(イタリア)にパワーで打ち勝った。四大大会で複数の日本人男子が2回戦に勝ち進むのは、1974年全仏(坂井利郎が3回戦、九鬼潤と神和住純が2回戦進出)以来38年ぶり。
[男子シングルス1回戦]
錦織に四大大会で初めてシードがついた。今まではチャレンジするだけだったが、挑戦を受ける側に回る。勝たなければいけない、という重圧も増すだろう。しかし錦織は「少しはプレッシャーもあるが、あまり気にならない。周りの期待は感じるが、本人はそんなに気にしていない」と受け流した。この言葉が強がりではないことは、1時間52分のひとり舞台を見れば明らかだった。
第1セットのアンフォーストエラーはわずか2本、相手に11ポイントしか与えず、19分でセットを奪った。第2セットはややトーンダウン。「相手のプレーが攻撃的になり」、タイブレークにもつれた。しかし、これを9-7で制すると、試合の行方はほぼ決した。「タフな第2セットを取れたことで自信がついた」と錦織。第3セットは独壇場だった。
ウイナーは3セットで35本と驚くような数ではない。しかし、盤石のプレーだった。一進一退となった第2セットの勝負どころでも、無理せず、丁寧なショットで相手のミスを誘った。緩急の変化は自由自在。ここというところでは伸びのあるグラウンドストロークを続け、相手を押し込んだ。昨年1年かけてつかんだ「勝ち方」を披露した錦織が、危なげなく1回戦を突破した。
[男子シングルス1回戦]
| ○ |
伊藤竜馬 |
|
● |
ポティート・スタラーチェ(イタリア)
|
好スタートを見せた伊藤。第1セットは第5ゲームで相手のサービスを破り、6-3。しかし、第2セットは序盤のサービスダウンが響き、4-6で失う。ショットの精度が落ち、エラーが増えた。自己最高27位のベテラン、スタラーチェが流れをつかむと、経験の浅い伊藤には厳しい。ところが第3セットで伊藤が立て直す。第4ゲームで相手のサービスゲームをブレークし、6-3。第4セットは競り合いとなったが、ワンチャンスを生かした。4-4からサービスブレークに成功。王手をかけてのサービスゲームは、最初のマッチポイントでこの試合11本目のサービスエースをたたき込み、四大大会初勝利をガッチリつかんだ。
「集中力を切らさない、サーブとフォアハンドで勝負する」と言い聞かせて臨んだ試合。「最初から最後までそれができた」という伊藤の、会心の勝利だった。ファーストサーブは最速208キロ。ファーストサーブが入ったときのポイント獲得率は80%に跳ね上がった。フォアハンドのウイナーは20本と相手の2倍に達した。初の全豪本戦にも「緊張せず、勝つ、と思ってやっていた」。自分の形で4セットを戦い抜いた。
ここまで一気に駆け上がったわけではない。1年1年、着実に力をつけて、昨年の全米で四大大会初出場を果たした。ランキングを上げての本戦ダイレクトインは大きな自信になったという。デビスカップでも、フィリピン戦で5時間半の死闘を制するなど、日本の27年ぶりのワールドグループ復帰に貢献した。そうして経験を積み、実力を伸ばしてつかんだ四大大会初勝利だった。
「グランドスラムの1勝はうれしいが、これが始まりだと思っている」。辰年の1月、竜馬が翼を広げ、大きく飛翔した。
--------------------------------------------------------------------------
※全豪オープン2012の最新情報は、[JTA公式メールマガジン「Tennis Fan(テニスファン)」のバックナンバーでご覧になれます。また、「JTA公式ブログ」
--------------------------------------------------------------------------
日本選手の結果
[男子シングルス2回戦]
[男子シングルス1回戦]
| ○ |
伊藤竜馬 |
|
● |
ポティート・スタラーチェ (ITA) |
[女子シングルス1回戦]
| ○ |
ペトラ・チェトコフスカ (CEZ) |
|
● |
森田あゆみ |
| ○ |
エレニ・ダニリドゥ (GRE) |
|
● |
クルム伊達公子 |
[男子シングルス予選3回戦]
| ○ |
アレックス・クズネツォフ (USA) |
|
● |
杉田祐一 |
[女子シングルス予選3回戦]
| ○ |
Valeria Savinykh (RUS) |
|
● |
奈良くるみ |
[男子シングルス予選2回戦]
| ○ |
杉田祐一 |
|
● |
Gianluca Naso (ITA) |
| ○ |
Denys Molchanov (UKR) |
|
● |
添田豪[1] |
[女子シングルス予選2回戦]
[男子シングルス予選1回戦]
| ○ |
添田豪[1] |
|
● |
Pavol Cervenak (SVK) |
| ○ |
杉田祐一 |
|
● |
ルベン・ベメルマンス (BEL)[24] |
[女子シングルス予選1回戦]
| ○ |
奈良くるみ |
|
● |
セシル・カラタンチェバ (KAZ)[22] |
| ○ |
Anna Floris (ITA) |
|
● |
江口実沙 |
| ○ |
Julia Glushko (ISR) |
|
● |
藤原里華 |
| ○ |
Maria Joao Koehler (POR) |
|
● |
土居美咲[6] |
| ○ |
キルステン・フリプケンス (BEL) |
|
● |
瀬間詠里花[12] |
「Tennis Fan」バックナンバー記事
全豪特集#1 杉田、奈良とも予選決勝で敗退。惜しくも本戦進出を逃す
全豪特集#2 万全の準備で開幕を迎える錦織、クルム伊達ら日本勢
全豪特集#3 森田あゆみは逆転負け。クルム伊達も初戦敗退
全豪特集#4 38年ぶりの快挙。男子の錦織と伊藤がそろって初戦突破!
全豪特集#5 女子ダブルスでフェド杯代表ペアの藤原/森田が初戦突破
全豪特集#6 錦織圭が2セットダウンから逆転勝ち!伊藤竜馬は惜敗
|