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2009近畿まほろば総体レポート

[更新日:2009/12/7]

「君が今 歴史の新たな ページを創る」

全国高等学校体育連盟テニス部
常任委員 新居弘行

はじめに

「君が今 歴史の新たな ページを創る」をキャッチフレーズに、青春の感動と笑顔と涙のドラマ、今年のインターハイが奈良の地で展開された。 会場の橿原市はわが国初の都城、藤原京が特別史跡藤原宮跡として残っており、明日香村は1400年前に律令国家体制が初めて形成された時代における政治・文化の中心地域であり、そのときの風土が住民によって今日まで維持されている。歴史的な土地で自分たちの新しい記録の1ページをそれぞれ創って欲しい、という願いが大会スローガンに込められている。

開会式

総合開会式が奈良市鴻池陸上競技場で開催されたため、その前日の7月27日、監督連絡会において優勝旗の返還が行われた。

団体戦

男子ベスト8は次の学校。

湘南工大附(神奈川)、関西(岡山)、名古屋(愛知)、清風(大阪)、四日市工(三重)、静岡市立(静岡)、大成(東京)・秀明英光(埼玉)。

男子は戦国時代を象徴するかのように、2年連続でベスト8に入ったのが湘南工大附と秀明英光だけであった。東海地区からは3校が入り、名古屋が準優勝、四日市工が3位と活躍が光った。

第1シードの湘南工大附と名古屋の準決勝は、シングルス2が1時間足らずで湘南工大附・今井。ダブル スは名古屋・戸田/中川組がとり、勝敗はシングルス1の近藤(湘南工大附)と古田(名古屋)にかかった。 ダブルスが終わった時点でセットポイントは1ー1。両者ともチームメイトからの大声援を受けるなかでのフ ァイナルセットスタートとなった。一進一退の攻防を繰り返しながら先にチャンスを握ったのは古田で4ー4 の40ー0。しかしここから逆転を許し、4ー5で近藤がリード。近藤がそのまま押し切るかに思えたが、古田 は攻めの姿勢を崩さず、続くファーストポイントをリターンエースで取ると、その後は1ポイントしか落とさず7 ー5で勝利し、決勝進出を決めた。近藤は惜しくも敗れたが、ガッツあふれるプレーに会場から惜しみない 賞賛の拍手が送られた。

もう一つの準決勝、第2シード秀明英光と第3シード四日市工戦は、シングルス1が四日市工・遠藤。シン グルス2が秀明英光・大城。ダブルスは、ファーストセットを四日市工・服部/長岡組が取り、セカンドセット も2ー0とリード。試合を優位に進めていたが、秀明英光・川崎/鈴木組が粘りを見せタイブレークへ突入し た。ここでお互いに主導権を握ろうと、いろいろな仕掛けをするがうまくかみ合わず、遂にタイブレークもポ イント6ー6に。最後の集中力を見せた秀明英光が続く2ポイントを強打で取り切った。ファイナルセット、秀 明英光の勢いは止まらず、6ー1で取り試合を決めた。

13時40分。3面展開で秀明英光と名古屋の決勝戦が始まった。ダブルス、名古屋・戸田/中川組対、秀 明英光・川崎/鈴木組の試合は、名古屋から2ー0、2ー3、5ー3、6ー6。タイブレークも5ー5。どちらに 転んでもおかしくないシーソーゲームの果てに、名古屋が最後の2ポイントを取りセットカウントは1ー0にな った。この時点で試合開始から約1時間が経過していたが、シングルスも含め全体的に名古屋の勢いが感 じられ、秀明英光はそれに耐えるという構図に見えた。しかしこの流れは30分後には一転した。シングルス 2秀明英光・大城が名古屋・佐藤に勝利すると、ダブルスは名古屋から、7ー6、3ー3 シングルス1は6ー 3、5ー6。特にダブルスは3ー0から3ー3に追いつかれており、何となく秀明英光の流れに。だが結局ダブ ルスは名古屋が取り、優勝はシングルス1秀明英光・喜多、名古屋・古田にかかることになった。このシン グルス1、ファーストセットは名古屋の強打が冴え6ー3。セカンドセットは3ー5からの逆転で秀明英光7ー 5。ファイナルセットは名古屋が3ー1とリードするものの、ここから引き離せず、逆に秀明英光が4ゲーム 連取などで逆転し6ー4で勝利。初優勝を決めた。

女子ベスト8は次の学校。

駿台甲英(兵庫)、県岐商(岐阜)、札幌日大(北海道)、柳川(福岡)、椙山女学園(愛知)、富士見丘(東 京)、京都外大西(京都)、仁愛女子(福井)。

近畿2校、関東・北海道・九州・北信越各1校、東海2校と全国的に分散した形になった。

4シード全てが出そろった準決勝は、駿台甲英が柳川を2ー1で、仁愛女子が椙山女学園を2ー1で下し 、決勝戦は、第1シード駿台甲英と第2シード仁愛女子の顔合わせとなった。殊勲は仁愛の菅村。準決勝で も井上(椙山女学園)をファイナルセットの末下した菅村は、古賀とのシングルス1対決でも、経験やショット の切れで上回る古賀に対し、ショットの力や走力、気持ちの持ち方などの総合力で挑み、6ー2、6ー3のス トレートで勝利した。ダブルスでも仁愛・中村/丸山組が、駿台甲英・大麻/野井組に6ー4、2ー6、6ー2 で勝ち、優勝を決めた。シングルス2は仁愛・井上から5ー7、7ー6(4)、1ー3で打ち切り。駿台甲英は一 つ一つのプレーでいうと仁愛女子と互角以上のものをもっているように見えた。しかし仁愛女子は試合の流 れ、特に小さな流れをつかむのがうまく、要所や小さな要所でポイントを重ね、その差を結果に結びつけた 。2度目の優勝である。

個人戦・シングルス

8月1日夕方から2日朝まで続いた強い雨のため、決勝戦のみ3セットマッチ、その他は8ゲームマッチで行われた。

男子ベスト8は次の選手。

遠藤豪(三重・四日市工業・3年)、今井慎太郎(神奈川・湘南工大附・1年)、 菊池玄吾(東京・東海大菅生・3年)、近藤大基(神奈川・湘南工大附・2年)、伊藤祐樹(神奈川・法政二・3 年)、李在紋(茨城・東風・1年)、上原伊織(兵庫・甲南・2年)、田川翔太(神奈川・湘南工大附・3年)。

関東6名、東海1名、近畿1名、と関東の圧倒的な強さが光った。

優勝したのは遠藤。今年の選抜個人決勝と同じ、田川との顔合わせとなった。重苦しい雰囲気のなか始 まった決勝戦、遠藤はファーストゲームのブレークに成功するが続く第2ゲームは0ー40のピンチ。しかしこ こをサービスエースを含む落ち着きのあるプレーで乗り切り2ー0でとると、その後も丁寧なラリーの中に要 所の強打を決め、6ー2、6ー1で制した。田川も鋭いショットを決めるが単発に終わり、涙をのんだ。ベスト 4には、強力なサーブとフォアで第4シードを破り遠藤にも7ー9とあと一歩まで迫った菊池、1年生ながら落 ち着きのある力強いプレーを見せた李が入った。

女子ベスト8は次の選手。

井上雅(愛知・椙山女学園・3年)、長谷川茉美(熊本・ルーテル・3年)、今西美 晴(京都・京都外大西・2年)、小和瀬麻帆(千葉・渋谷幕張・3年)、古賀愛(兵庫・駿台甲英・3年)、大坪慧 美(和歌山・慶風・1年)、美濃越舞(千葉・秀明八千代・2年)、江口実沙(東京・富士見丘・2年)。

関東3名、関西3名、東海1名、九州1名。

決勝は第1、4、5シードを破り波に乗る小和瀬と、第2シードの江口を接戦の9ー7で破った美濃越の千 葉県対決となった。団体・ダブルス・シングルスの3種目に出場し少々疲労の残る美濃越に比べ、体力、精 神力の充実している小和瀬がその勢いのまま終始試合を優勢に進め、6ー2、6ー3で栄冠を勝ち取った。 千葉県大会で勝っている美濃越はリベンジを許す形となってしまったがまだ2年生。来年に期待したい。  昨年準優勝の井上は準決勝で涙をのみ、古賀と並んでベスト4。  昨年ベスト8に入り、今年は第4シードと期待された石津幸恵(土浦日大・2年)、今西、江口、そして美濃 越など、来年も激しい戦いが予想される。

個人戦・ダブルス

男子ダブルスベスト4は次の選手。

菊池玄吾/次山拳生(東海大菅生・3年/2年)、西田昇吾/近藤翔 英(柳川・2年/3年)、田川翔太/古橋弘章(湘南工大附・3年/3年)、徳田拓哉/林奕倫(岡山学芸館・ 3年/2年)。

関東勢同士の戦いとなった決勝戦、ファーストセット6ー3で取った田川/古橋組がセカンドセ ット5ー3とリードし押し切るかに思われたが、菊池/次山組が接戦をものにし7ー5で逆転。勝敗の行方は わからなくなった。ファイナルセットも互いにワンブレークで4ー4。最後は田川/古橋組が6ー4とし競り勝 った。

女子ダブルスベスト4は次の通り。

穂積絵莉/前原まりあ(湘南工大附・1年/1年)、永井陽子/岡崎 惠美(慶風・3年/3年)、大原かのこ/齊藤杏奈(宮崎商・3年/3年)、江口実沙/伊藤夕季(富士見丘・ 2年/1年)。

決勝に進出したのは穂積/前原組と大原/齊藤組。決勝戦は2ー2、4ー4と一進一退の攻 防が続いた後、5ー4の40ー0と大原/齊藤組がセットポイントを握る。しかしここで穂積/前原組は今まで になかった強気なプレー(中ロブをドライブボレー)を見せ逆転する。ファースト、7ー6(3)で取った同ペアは 続くセカンドセットも6ー3で押し切り、優勝を決めた。ガッツ溢れるプレーで最後まで戦った大原/齊藤組 は、あと一歩及ばなかった。

おわりに

個人戦、女子シングルスでは千葉県勢同士の決勝戦が繰り広げられ、男女ダブルスでは湘南工科大附 属がアベック優勝するなど関東勢の活躍が光った。一方男子シングルス優勝、遠藤豪選手の四日市工業 高校・金山敦思監督は、平成12年度岐阜インターハイのシングルスで優勝しており、チャンピオンがチャン ピオンを育てた形となった。

今回の本番に向け、2年間で16回の審判講習会、6回の実戦で経験を積んだ審判補助員をはじめ約50 0人の補助員もがんばった。特に8月1日の夜まで続いた試合では、時折降る強い雨でずぶ濡れになりな がら、また2日は天候を見ながらの進行であったにもかかわらず臨機応変に対応し、期間中を通して立派 に責任を果たした。緊張を強いられる審判員たちの感想の中で印象的なのが「試合後、握手してくれたとき にうれしかった。やりがいを感じた」という言葉である。選手と補助員という立場の違いはあるが、同じテニ ス仲間としての心の触れあいは今後も大切にしていきたいものである。  「厳しい状況であればあるほど勝利へのこだわりとスポーツマンシップは矛盾しない。激しい闘争心と美し いマナーを兼ね備えたハイレベルの試合を期待します。」

大会パンフレットの馬瀬部長のあいさつである。先人達が大切にしてきたもの、その土台の上に今大会 はあった。

来年度は高体連全32種目の先陣を切って、100周年の記念すべき大会が沖縄で開催される。

1年後新しい歴史が始まる前に、今一度原点に返ってこの言葉をかみしめたい。





“優勝旗の返還"
“仲間からの声援を受ける近藤選手"
“秀明英光・川崎/鈴木組"
“秀明英光・喜多選手"
“秀明英光高校"
“仁愛女子・中村/丸山組"
“仁愛女子高校"
“四日市工業・遠藤豪選手"
“渋谷幕張・小和瀬麻帆選手"
“湘南工大附・田川/古橋組"
“湘南工大附・穂積/前原組 "