[車いすテニス女子シングルス決勝]
○上地結衣 6-7(2),6-3,6-3 ●イエスカ・グリフィユン(オランダ)
■全仏、全米に続く四大大会優勝、そして、リオパラリンピック金メダリストを破っての栄冠には大きな価値がある。大会前のランキングでは2位上地が3057ポイント、1位のグリフィユンが4588ポイント。車いすテニス女子の勢力図で、31歳の女王は頭ひとつ抜けている。深く打ち込むフォアハンドのトップスピン、ネットを取って盤石の形にして決めるプレーは抜群の安定化だ。この試合では、上地のサーブをリターン1本で仕留める力強さも見せた。
■第1セットはタイブレークで奪われた上地だが、第2、第3セットを連取した。最終セットは0-2からの挽回だった。相手のバックハンドがサイドラインを割ると、上地は両手でガッツポーズを3度。抑えていた感情を爆発させた。テレビのインタビューに「率直にうれしいです。終わった瞬間、やっと取れた、と。今週は徐々に調子が上がっていたので、これで取れなかったらいつ取れるんだろうという思いがあったので」と笑った。
■しかし、次の言葉はいつも冷静な彼女らしいものだった。「ベンチに戻った時は『次、どうやったら勝てるだろうな』と思った。練習して、勝ち続けられる選手になりたい」。勝ってもおごらず、常勝を目指す。数日前は「世界ランク1位に戻りたい」とも話していた。憧れる国枝慎吾にも通じるどん欲さが、彼女をもう一つ高いレベルへと導くだろう。
(広報委員会)