日本テニス協会 副会長 川廷 栄一
*大会変遷の年
今年、日本テニス界は厳しい試練と同時に、進化の年を迎えています。世界的経済危機の影響とWTAによる日程変更は、1973年以来37年間伝統を築いてきたJAPAN OPENの変革を余儀なくされました。しかし男子はATP500シリーズに昇格、女子はITFサーキットとして、新たに楽天株式会社様の特別協賛により、アジア唯一のITF認定選手権を楽天オープンとして、男子、女子それぞれの目的と意義を掲げる大会となり、一層の発展を期して開催されます。
またユニークな大会として多数のファンに楽しまれてきました神戸のIZAWAクリスマスオープンが、かつてのSEIKO SUPER、DUNLOP MASTERS両大会同様、20年をもって幕を閉じました。井澤金属株式会社様の日本選手への多大の貢献に対し、心から感謝の意を表する次第です。
天災とも言える新型インフルエンザの発症は、特に関西地方で大きな影響があり、伝統ある大会の延期、中止を余儀なくされ、多くの方々、特に選手各位、並びに同時期の大会には大変申し訳ない事態になりました。
今秋には、大阪靱テニスセンターを舞台に、国際車いす選手権、そして新たにWTA TourのHP OPEN(JAPAN WOMENS OPEN)、続いて大阪市長杯世界スーパージュニアが31年目の大会を開催します。この結果有明でのWTAプレミアイベント東レPPOから靱のスーパージュニアにかけて、日本は5週連続でアジアテニス界でも重要な国際公式大会の檜舞台となり、テニスファンの皆様に是非ともお楽しみいただきたいと願っています。
*新たな挑戦
デ杯戦では、対中国戦のあと、遠征したウズベキスタン戦で敗れ、残念ながら今年も世界グループへの挑戦の機会を失しました。
フェド杯も世界グループ2の対戦で、セルビア、ポーランドといずれも遠征の相手国で苦杯を喫し、来年度は10年ぶりにアジア・オセアニアグループ1からの再出発になり、男女ともアジア各国に挑戦する事になります。
昨年の北京五輪では世界のトップが全員参加し、男女ともメダリストは4大大会クラスの顔ぶれになりました。1988年ソウル以来20年6回の開催を経て選手達が水泳や陸上選手同様、五輪の価値を認識したことで、2012年ウィンブルドン五輪は国際テニス連盟が目標とするグランドスラムと同格の祭典としてさらに厳しい戦いになることが予想されます。
そして今年10月には、2016年五輪開催地を決定するIOCのセッションがあり、協会としては東京五輪が決定すれば五輪テニスの開催だけでなく、有明の近代施設充実が実現する事に大きな期待を寄せています。
これまで日本はアジアの盟主国として世界で認識されてきましたが、中国がアテネ五輪の金メダル獲得、ウィンブルドンでの自国ペアによる優勝、フェド杯の世界グループ定着、さらにATP Masters開催、北京五輪の成功で一挙に世界が注目する発展を見せ、新たにアジア最大の450万ドル中国オープン開催を実現し、北京にWTAアジア地域事務所の設置を誘致、今年のITF総会では日本、インドと同格の投票権9票を獲得する事を目指しています。
僅か5年間における中国の世界進出、進化する国際テニス界の動向を的確に把握し、JTAは一層の強化と普及に努めると同時に、アジア、世界テニスの発展に協調して、国際テニス界での地位向上に努めていくことが今後益々重要になると確信しています。